スマートフォンの普及に伴い、未成年者でもd払いのようなキャッシュレス決済を利用する機会が増えています。
そして、お小遣いが足りない時や、急な出費が必要になった際に、「d払いの後払い機能を使って現金化できないだろうか」と、軽い気持ちで考えてしまうかもしれません。
しかし、未成年者がd払いの現金化に手を出すことは、大人が行う以上に深刻で、取り返しのつかない事態を招く極めて危険な行為です。
この記事では、d払いの現金化を考えている未成年のあなた、そしてその保護者の方に向けて、なぜそれが「絶対にダメ」なのか、その理由と具体的なリスクを詳しく解説します。
未成年でもd払いの現金化はできる?結論から解説
まず、最も重要な結論からお伝えします。
未成年者がd払いの後払い機能を使って、まとまった金額を現金化することは、その仕組み上ほぼ不可能です。
そして、もし少額でも実行しようとすれば、そこには非常に大きなリスクが待ち受けています。
なぜ不可能なのか、その理由から見ていきましょう。
原則として未成年者の現金化は不可能・非推奨
d払いを現金化するには、後払い機能である「電話料金合算払い」を利用します。
しかし、このサービスはドコモによって厳格な年齢制限と利用限度額が設けられています。
また、専門の現金化業者も、法律上の観点から未成年者との取引を固く禁じています。
これらのことから、正規の方法で未成年者が現金化を行うことは、原則としてできない仕組みになっているのです。
年齢による利用限度額の壁
未成年者の現金化を阻む最大の壁が、利用限度額の低さです。
d払いの電話料金合算払いは、契約者の年齢に応じて上限額が厳しく管理されており、未成年者が自由に高額な決済をすることはできません。
この限度額が、現金化という行為を事実上無意味なものにしています。
d払いの後払いにおける未成年者の利用限度額
では、具体的に未成年者はd払いの後払いをいくらまで利用できるのでしょうか。
ドコモが定める年齢区分と、その上限額について正確に理解しておく必要があります。
19歳以下の上限は月1万円まで
NTTドコモの公式な定めにより、電話料金合算払いの利用可能額は、契約者の年齢が19歳以下の場合、契約期間などにかかわらず一律で「月額1万円まで」と設定されています。
これは、未成年者が高額な決済をしてトラブルになるのを防ぐための保護措置です。
つまり、d払いで後払いできるのは、最大でも月に1万円ということになります。
※2022年4月1日から成人年齢は18歳に引き下げられましたが、ドコモでは引き続き19歳以下を一つの区切りとしています。
この金額では現金化のメリットがほぼない
仮に、上限である1万円を現金化しようとしても、手元に残る現金はごくわずかです。
現金化業者を利用すれば、高い手数料(30%~40%)が引かれ、手元に残るのは6,000円~7,000円程度でしょう。
自分で換金率の高い商品を購入しようにも、1万円以内で買えるものは限られます。
数百円、数千円の現金を手にいれるために、後述する大きなリスクを冒すのは、どう考えても割に合いません。
未成年者がd払い現金化に潜む特有の重大リスク
もし、限度額1万円という壁を乗り越えて現金化を実行しようとした場合、未成年者だからこそ直面する、特有の深刻なリスクが存在します。
軽い気持ちの行動が、家族や自分自身の将来に暗い影を落とすことになりかねません。
親に必ずバレる!利用明細と高額な携帯料金
未成年者の携帯電話料金は、多くの場合、親が保護者として支払っているはずです。
d払いの電話料金合算払いで利用した金額は、翌月、親が支払う携帯料金に必ず上乗せされます。
利用明細を見れば、いつ、どこで、いくら使ったのかが一目瞭然です。
「今月だけ携帯代が高い」と、親に現金化が発覚するのは時間の問題であり、隠し通すことは絶対に不可能です。
ドコモとの契約・親からの信頼を失う
現金化は、ドコモが禁止する明確な規約違反です。
これが発覚すれば、d払いの利用停止はもちろん、最悪の場合は携帯電話契約の強制解約という事態も考えられます。
それ以上に深刻なのは、お金の問題で嘘をつき、親を裏切ってしまったという事実です。
心配をかけ、築き上げてきた家族からの信頼を、一瞬で失ってしまうことになるでしょう。
悪質な業者に狙われる危険性
判断力が未熟で、社会経験の少ない未成年者は、悪質な大人たちにとって格好のターゲットです。
「未成年でもOK」などと甘い言葉で誘い、法外な手数料を請求したり、脅してさらにお金を要求したり、身分証明書などの個人情報を悪用したりする犯罪に巻き込まれる危険性が非常に高いです。
【法律の注意点】未成年者契約取消権とは
日本の法律では、未成年者を悪質な契約から守るための強力な権利が定められています。
現金化業者が未成年者を避けるのには、この法律が大きく関係しています。
親の同意がない契約は取り消せる
民法では、未成年者が親(法定代理人)の同意を得ずに結んだ契約は、後から一方的に取り消すことができる「未成年者契約取消権」を認めています。
つまり、業者が未成年者と知って現金化の取引をしても、後から親がその事実を知れば、契約を無かったことにできてしまうのです。
業者にとっては大きな損害になるため、身分証明書による年齢確認を徹底し、未成年者との取引を避けているのです。
年齢を偽って利用した場合のリスク
もし、未成年者が成人であるかのように嘘をついて(詐術を用いて)業者を利用した場合、この「未成年者契約取消権」が使えなくなる可能性があります。
そうなると、業者との間で発生したトラブルに対して法的な保護を受けられず、すべての責任を自分自身で負わなければならなくなります。
「未成年でもOK」と謳う現金化業者は100%悪質
もし、インターネットやSNSで「未成年者歓迎」「年齢確認不要」などと宣伝している現金化業者を見つけても、絶対に利用してはいけません。
そのような業者は、法律を守る気がない、100%悪質な業者であると断言できます。
彼らは、未成年者を守る法律を逆手に取り、「契約を取り消されたら困る」という弱みにつけ込んで、脅迫や恫喝といった手段で不当な利益を得ようとします。
個人情報を犯罪組織に売られてしまう危険性も極めて高いです。
保護者の方へ:お子様のd払いの利用状況を確認しましょう
この記事を読まれている保護者の方もいらっしゃるかもしれません。
お子様をトラブルから守るために、d払いの利用設定を今一度確認することをお勧めします。
利用可能額の設定・制限方法
d払いの電話料金合算払いは、My docomoなどから、現在の利用限度額をさらに低い金額に設定したり、そもそも利用できないように停止したりすることが可能です。
お子様の年齢や使い方に合わせて、親子で話し合いの上、適切な設定をしておくことがトラブルの予防に繋がります。
定期的な利用明細の確認の重要性
毎月の利用明細に目を通し、身に覚えのない高額な請求がないか、不審な利用履歴がないかを定期的に確認することが大切です。
早期に問題を発見できれば、被害を最小限に食い止めることができます。
まとめ:未成年者のd払い現金化は「絶対ダメ」。すぐに相談を
d払いの後払い機能を使った現金化は、未成年者にとって、メリットはほぼ皆無である一方、デメリットとリスクは計り知れないほど大きい行為です。
利用限度額は低く、必ず親に発覚し、家族の信頼を失い、悪質な犯罪に巻き込まれる危険性があります。
もし、今お金のことで悩んでいて、現金化という言葉が頭をよぎったとしても、絶対に一人で抱え込まないでください。
一番大切なのは、正直に親や信頼できる大人に相談することです。
怒られるのが怖いかもしれませんが、あなたのことを本当に心配してくれる大人は、きっと一緒に解決策を考えてくれるはずです。
危険な道に足を踏み入れる前に、どうか勇気を出して、信頼できる人に声をかけてください。